「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」シーズン2は陰謀渦巻く戦争と、登場人物の深掘りが見所


image: (94) Orange Is the New Black – 写真

女子刑務所の日々を描いたNetflixオリジナルドラマの傑作

2013年からスタートし、2018年6月現在シーズン5までがNetflixで配信されている、アメリカのドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』。Netflixに加入しているなら、是非とも観て欲しいドラマのひとつです。
今回はシーズン2についてのあらすじ、登場人物、感想などを書いていきたいと思います。
シーズン1のネタバレなども含みますので、未見の方はご注意ください。

シーズン2の物語

シーズン1の最後に、ペンサタッキーをタコ殴りにしたパイパーは懲罰房に入れられていました。明確な期間は定かではないですが3週間〜1ヶ月ほど。その間に、刑務所の外で動きがあり、アレックスのボス的な存在で、ドラッグディーラーのクブラの裁判が始まろうとしていました。クブラの裁判で証言するため、シカゴの刑務所に移送されたパイパー。初めは何故移送されるのか、どこに移送されるのか、全く不明で非常に狼狽えていたパイパーですが、場所と目的が判明して少し落ち着きます。しかしそこは、もと居たリッチフィールド刑務所よりも何倍も劣悪な刑務所で、パイパーは精神的にどんどん追い詰められていきます。
そんななか、彼女はなんとアレックスと再会します。アレックスもまた、クブラの裁判の証言のためにシカゴに来ていたのでした。見ず知らずのしかも極悪人ばかりの、初めて来た刑務所で出会った元恋人に、さらなる安堵を見せるパイパー。そこでアレックスから、裁判では嘘の証言をするように言われます。というのもクブラは裏切り者を許さない。彼に不利な証言をしようものなら、後々の報復は免れないというのです。最初は、嘘の証言などするはずがないと豪語していたパイパーでしたが、土壇場になってアレックスへの想いもあり、裁判で嘘の証言をします。これで彼女は司法取引をすることも出来ず、刑期を短くするチャンスを失ったのです。ただ驚くべきことにアレックスは、いざ裁判が始まると、自分だけ嘘の証言をしてしまったのです。彼女が嘘の証言をするとクブラを刑務所にぶち込むことが出来るため、報復も恐れることはないという甘い言葉に流されたアレックス。そんな元恋人の裏切りにパイパーは狂ったようにキレます。
そんな騒動があって、アレックスとも正式におさらばしたパイパーは念願のリッチフィールド刑務所に戻ってきます。刑務所にしては比較的自由が許されていて、他の受刑者の危険度も、そこまで高くないリッチフィールドに戻ってきて喜ぶパイパーでしたが、そこにも新たな危険が訪れていたのでした。

その危険というのが、黒人の出戻り受刑者のヴィー。彼女はもともとテイスティの育ての親のような存在で、外では麻薬の売人をしていました。かつてはレッドとともにリッチフィールドにいたこともあった、黒人受刑者のボス的存在です。シーズン2では、ヴィーがテイスティやスーザン(クレイジー・アイズ)ら他の黒人受刑者をまとめて、様々な悪事を働く物語をメインに、各登場人物をさらに掘り下げるエピソードや、パイパーの刑務所の悪事を暴く行動や、闇が深まっていく様子、レッドの復権や看守たちの苦悩が描かれています。

シーズン2の登場人物
シーズン1の登場人物はこちらの記事を御覧ください
囚人たち

白人

キャリー・ブラック(ビッグ・ブー)
シーズン1から登場している。個性的な髪型と、横に大きな体が特徴のレズビアンの女囚。白人の中でレッド一派に属しつつも、彼女を心から慕っている訳ではなく、利用している。ずる賢く、自分の利益のためなら平気で人を騙す。

ヒスパニック系

グロリア・メンドーサ
シーズン1から登場している。ヒスパニック系のボス的存在で、アライダと仲良し。レッドがメンデスにはめられ厨房の仕事を追われた後に厨房を仕切るようになる。厳しさと優しさを併せ持ち、レッドやヴィーに比べると小柄に見えても、度胸では負けていない。呪術をかじっている。

ローザ
シーズン1から登場している。パイパーの最初のルームメイトのひとりで、末期の癌患者。ヒスパニック系の中でも最長老的存在。だが他のヒスパニックを率いているという訳ではなく、監視付きで病院通いをしながら静かに暮らしている。

黒人系

イヴォンヌ・パーカー(ヴィー)
シーズン2から登場。テイスティの育ての親で、麻薬の売人。リッチフィールドには出戻りで、レッドとも因縁がある。狡猾で人心掌握に長けており、自分の利益のためなら、平気で仲間を切り捨てる。

シンディ・ヘイズ
シーズン1から登場している。おしゃべりと食べ物が大好きな巨漢の女性。ノリは良いが、文句ばかりの皮肉屋で、黒人女囚の中でも特に自分勝手。


アジア系

ブルック・ソーソー
シーズン2から登場。小柄の日系の小動物系女子。おしゃべりで常に自分のことを話しているため、他の受刑者たちからは本気でウザがられている。ガンジーが好きで、真面目な性格をしており政治活動を行う。入所当時はパイパーを慕っていた。

シーズン2の見所と感想

シーズン2では、パイパーが腹黒くなっています。腹黒いというか、刑務所にも慣れて、闇が深まっている感じです。まず驚きなのが、シカゴの刑務所に移送される時、小便をしたくなったが、長時間の移動でなかなかトイレに行けず、やっとの思いでトイレに行けるようになった時、女性の看守がいないから少し待つように言われた際に「男の監視でも良いからトイレに行かせてくれ」と言ってのけました。刑務所に来た当初は、ドアが外れたトイレで用を足すことすらできなかったパイパーが、逞しくなったもんです。
新入りのソーソーが来てからは、彼女の闇がさらに深く描かれています。刑務所に来た当初のパイパーを彷彿とさせるような、心細さで潰れそうなソーソーに対し、もはや貫禄すらつき始めたパイパーは刑務所で生きる上での心得などを説きます。あなた、染まっちゃったのね、とでも言いたくなるような成長(?)ぶりは、目を見張るものがあります。

そしてシーズン2の一番の見所は、何と言っても新キャラでありながら黒人グループのボスになったヴィーの物語でしょう。ヴィーは、本当に悪人です。刑務所にいるのだから、罪人なのはみんな同じなのですが、刑務所の中を牛耳ろうと、色々画策します。脅し、買収、泣き落とし、なんでもやります。
彼女のすごいところは人心掌握に非常に長けている点です。誰からも相手にされない、精神的に少し変わったスーザンには、彼女のことを認め、褒めることで彼女には自分しか味方がいないと思い込ませテイスティに対しては、かつて育ててやったという恩と母親代わりだったという絆を刷り込みます。一方、自分の利益優先のシンディなんかに対してはケーキや、裏稼業で手に入れた報酬を分け前として与えることで釣るという、相手によってやり方を変えることも心得ています。そんなヴィーの登場により、シーズン2ではシーズン1よりも、白人と黒人の対立が際立ち、刑務所内が殺伐としていきます!

一方のレッドは、シーズン1の最後にメンデスのせいで麻薬を裏で仕入れていると誤解され、厨房の仕事を奪われてしまいます。落ち込み、空回りし、仲間をも傷つけてしまう彼女からニッキーやノーマたちは距離をとり、孤立していくのですが、それでも彼女は枯れきってしまうことなく、新たな仲間も得てヴィーの台頭に立ち向かいます。この老女、もといボス同士の策を練った戦いがシーズン2のハイライトになります。

その他、シーズン2では、刑務所の予算の使われ方に疑問をもったパイパーが、その金の動きを嗅ぎまわりながら獄中内の新聞を作ったり、嫌われ者同士のペンサタッキーとヒーリー氏が心を通わせたり、新参者のソーソーが、ヨガやシスターを巻き込み刑務所の非人道的体制へのハンストが描かれています。
シーズン1以上に、彼女たちひとりひとりが深く描かれており、ひとりひとりへの感情移入も深くなります。ちなみに、個人的にはシーズン2でスーザンが大好きになりました。彼女の純粋さは、変な奴の一言では片付けられない魅力があり、それが今回は良くない方向に利用されてしまいます。また、末期癌患者のローザも、クールな役どころを演じています。初めてパイパーが刑務所に来た時、ベッドで苦しそうにしている様子を見た限りではパイパーおよび観ている人を不安がらせるための、モブキャラとまでは言わなくとも囚人たちのひとりでしかないと思っていると、彼女にも過去があり、今もなんとか生きている現在があることが描かれているのです。

シーズン2のクライマックスは、シーズン1以上にカタルシスを感じられるものになっています。途中は苦しく感じるようなところもありますが、最後は「はっはー!」と気分良く終われるので、是非ともご覧ください。

次はシーズン3について、もう一度観直して、紹介していきたいと思います!

シーズン1についてはこちら
シーズン3についてはこちら

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