サイコ野郎から義賊まで!物語を彩る悪役を分類に分けて紹介してみた

物語の面白さは悪役が左右する!


image: サノスとは|アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー|マーベル公式

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が公開となり、最凶最悪の<ラスボス>サノスが正式に登場しました!どのくらいの最凶最悪の<ラスボス>なのかというと、指パッチンで全宇宙の生命の半分を滅亡させられる石を手に入れようとし、予告編で「アベンジャーズ、ガチ全滅」とネタバレを言いまくるほど最凶最悪な奴でした。筆者も『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は観ましたが、何を書いてもネタバレになるし、この作品は続く完結編への序章のようなものになるので、今回はサノスにちなんで魅力的な悪役について、筆者の思い出に残る悪役を紹介していきたいと思います。

何を考えているのかわからない不気味さ漂う『ジェシカ・ジョーンズ』のサイコ野郎・キルグレイブ


image: Marvel ジェシカ・ジョーンズ | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

魅力的な悪役を魅力的にする要因のひとつは、特殊能力や姿形よりも思考の不気味さではないでしょうか?どうしても勝てないような特殊能力よりも、どんなに人間離れした醜い姿よりも、笑顔の下に隠れた見えない素顔が、悪役を最も際立たせるのだと思います。
そんな何を考えているのかわからない不気味な悪役の第一人者としては『ダーク・ナイト』のジョーカーなどが思い当たりますが、ここではNetflixのマーベル作品『ジェシカ・ジョーンズ』の第1シーズンのラスボス・キルグレイブを紹介したいと思います。
キルグレイブは、見た目はイケメン紳士風の男ですが、実際には人の心を操るというチートな特殊能力を持ち、かつて主人公のジェシカのことも洗脳して恋人のように振舞っていました。洗脳が解けた今もジェシカのことが大好きで、彼女を手に入れようとあらゆる手段を行使します。

キルグレイプの魅力

キルグレイプの最大の魅力は、主人公ジェシカのことが大好き過ぎて、彼女以外の人間はゴミ同然という価値観。洗脳というチートな能力のせいで、誰の心も思いのままなのに彼女だけには効かないため、彼女を振り向かせようとあの手この手を使います。しかし、それが普通に人を死に追いやるやり方という残酷な手段を使うものだから、かつて洗脳されていたという恨みがあるジェシカにとっては許せない存在でしかありません。また本人は本当にジェシカを愛しているのに、ジェシカはキルグレイブを殺す気でいるため、しばしば彼女に裏切られた気がして落ち込んだりするところも、逆に不気味な感じがして素敵です。ちなみにシーズン2でも追い詰められたジェシカの想像上の産物で登場しますが、その瞬間の観ている側のテンションの上がり方は半端ないです。

『ジェシカ・ジョーンズ』作品詳細:こちら

こんな不気味な思考の悪役が好きな人は以下の作品の悪役もチェック

ドラマ『SHERLOCK』モリアーティ教授:こちら

映画『時計仕掛けのオレンジ』アレックス:こちら

悪役という言い方よりも敵キャラと言いたい『デジモンアドベンチャー』最後の敵・アポカリモン

筆者の幼いころの一番好きなアニメは『デジモンアドベンチャー』でした。言わずもがなの無印です。
そのTVアニメ『デジモンアドベンチャー』のラスボスと言えばアポカリモン。人間の負の感情や、進化の過程で消えていったデジモンたちの怨念が集結した存在ということで、デジモンなのかどうかすら不明な存在なのですが、彼のセリフに「われわれが何をしたと言うのだ!なぜお前たちが笑い、われわれが泣かなければならないのだ!?」というものがあります。
彼もきちんと進化したかったし冒険だってしたかったのに、そうはならずに、勝手に闇から闇に葬られるような存在になってしまった。その一方で明るいところで平和に生きている人々がいることに対し、恨む気持ちは咎めようも無い気もする。そんな悲しい運命の悪役がこのアポカリモンでした。

アポカリモンの魅力

彼の最大の魅力は、子ども向けのアニメであるにも関わらず、そのラスボスが悲しいバックボーンを持った存在であるという部分でした。単に後出しで「実は良い奴でした」とか「過去の悲劇が彼を変えてしまった」というお涙頂戴設定ではなく、なぜ光と闇に分けられてしまったのかという嘆きが先に立って、それが光に対する憎しみに変わったということを描いた上で主人公たちに襲いかかるところが素敵です。
これまで主人公達が相手してきた敵デジモンの技を使えて、主人公達のデジモンが進化出来ないようにして、終いには彼らをデータに分解してバラバラにしてしまうというとんでもない強さもアポカリモンの魅力ですが、その彼の行動原理には、不遇な自分の運命を嘆き、一方の光の中で笑う主人公達への嫉妬とも言える恨みが、彼をこれまでの悪役とは一線を画す存在にしたのでした。

TVアニメ「デジモンアドベンチャー」作品詳細:こちら


悪役とは一言では言えないけど、主人公と敵対しているキャラが見たい人は以下の作品もチェック

映画『ブレードランナー』ロイ・バッティ:こちら

マンガ「ONE PIECE」ハンニャバル:こちら

存在自体が胸くそ悪い!悪役としては100点満点な「マリアビートル」の王子慧


image: 『マリアビートル』伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)|角川書店|KADOKAWA

伊坂幸太郎先生の初期作品は勧善懲悪のものが多く、最後にスカッとするような爽快感を残す作品が主でした。その代わり悪役はどうしようもない程に悪い奴らで、殺人・強盗・強姦などの罪を犯すことはもちろんのこと、それを正当化することに長けているような奴らばかりでした。
ある時期から勧善懲悪なだけではなく、若干のモヤモヤを残す代わりに現実味を増すようになった伊坂作品の中でも、特にこいつは、と思うのが殺し屋小説第二弾「マリアビートル」の中学生・王子慧でした。
王子は優等生の見た目と悪魔のような狡猾さを併せ持つ、最凶最悪な中学生です。実際に非常に頭がよく、自分より大人で力も強い他の殺し屋達を見下すために、ことあるごとに大人達に「どうして人を殺してはいけないの?」という質問を投げかけます。大人達がその質問の答えを持っていないことを知っているから。そしてその納得に足る答えが返ってこないために殺人を正当化するという性根の腐った少年。物騒なおじさんをおびき寄せるために幼子をビルから突き落とすという悪事という言葉が可愛く見えるようなことをする奴。相手をバカにして貶めるためだけに生きている、そんな伊坂作品らしい悪役です。

王子慧の魅力

正直ここまでくると魅力といえる魅力はありません。感情移入も出来なければ、同情できる過去もない。ただ、魅力がないことが悪役としては100点満点なのかもしれないですね。

『マリアビートル』作品詳細:こちら

どうしようもない純粋悪に染まりたい人は以下の作品もチェック

小説『オーデュボンの祈り』城山:href=”https://isakakotaro.ctbctb.com/books/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%A5%88%E3%82%8A/”>こちら

マンガ『魔界探偵脳噛ネウロ』シックス:こちら

悪役だけど格好いい!己の信念に生きたり、そうでなかったりの悪役たち


image: CHARACTER | TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』

「不気味さ」「主人公と敵対すること」「絶対悪」など悪役の条件として色々挙げてみましたが、“魅力的な悪役”に最も大切なのは「主人公サイドに負けないくらいに確固たる己の信念」ではないでしょうか。
そういう意味で「僕のヒーローアカデミア」に登場するヒーロー殺し・ステインは、数多くのヒーローが跋扈するなかで、ヒーローとは自己犠牲の果てに得うる称号でありそれ以外は偽物であると、本物以外を粛清するという信念に真っ直ぐな存在でした。作中でも彼の意思に同調する人々は多数いて、思想犯としての魅力も非常に色濃く描かれていました。

ステインの魅力

本作のNo.1ヒーローであるオールマイトがいうところの「思想犯の眼は静かに燃ゆるもの」を、そのまま表しているステインの魅力はもちろんその思想・信念です。相手の血を経口摂取することで一定時間相手を動けなくするという個性(特殊能力)はどちらかというと地味なものにも関わらず、その信念と鍛え上げた体術はバトル漫画で必須な戦闘シーンの特殊能力の格好良さを遥かに凌駕するものでした。

『僕のヒーローアカデミア』作品詳細:こちら

確固たる信念を宿した悪役が登場する作品

ドラマ『デアデビル シーズン2』フランク・キャッスル:こちら

小説『容疑者Xの献身』石神哲哉:こちら

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