「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」シーズン4は看守が変わり、悲しい悲劇が刑務所を襲う・・・
image: オレンジ・イズ・ニュー・ブラック シーズン4 | ソニー・ピクチャーズ公式
女子刑務所の日々を描いたNetflixオリジナルドラマの傑作
2013年からスタートし、現在シーズン6までがNetflixで配信中のアメリカのドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』。Netflixに加入しているなら、是非とも観て欲しいドラマのひとつです。
今回はシーズン4についてのあらすじ、登場人物、感想などを書いていきたいと思います。
※シーズン1〜3のネタバレなども含みますので、未見の方はご注意ください。
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シーズン4の物語
一時の自由を謳歌する女囚たちと、大きな変化を迎えるリッチフィールド
シーズン3の最後に、不満を爆発させたリッチフィールドのベテラン看守たちは、一斉に退職することに。ちょうど同じタイミングで刑務所を囲む金網の修理の隙に、金網に空いた穴から脱走し近くの湖で一時の自由を謳歌する受刑者たち。みんな良い顔してます。ちょっとギクシャクしていた人たちも、ドギマギしながら笑いあってる。
しかしその裏で、リッチフィールドには、MCCの経費削減のために大量の入所者が到着しているのでした。受刑者が増える=ひとり当たりのスペースが減りストレスが溜まる。そして所内のバランスも崩れるという方程式が、ここから始まっていくのでした。
クブラが送ってきた殺し屋を殺したアレックスとローリーの前に現れた老女
みんなが湖でキャッキャし、看守たちが辞めてカプートがアワアワしている時、もうひとつ事件が起きていました。クブラが寄越した殺し屋に殺されかけたアレックスが、変わり者のローリーに助けられ、逆にふたりで殺し屋を殺してしまいます。刑務所内で人を殺したことにうろたえるアレックス。ローリーは何を考えているかわからないし、恋人のパイパーはパンティビジネスや保安部隊で調子に乗っていて頼りにならない。そんな時彼女の前に現れたのが、殺しの現場となった菜園を訪れた老女・フリーダ。シーズン4では彼女が脇役のおばあちゃんからメインどころのヤバいおばあちゃんに格上げされます!
シーズン2でヴィーを殺そうとしたおばあちゃん然り、実際にヴィーを殺したローザ然り、ミス・クローデット然り、おばあちゃん受刑者たちは肝っ玉や背景の深さややることの大胆さ、その魅力がとても深くて素敵です。彼女たちに比べるとレッドもコメディ要員になってしまいます。
さてそのフリーダ、殺し屋の死体を菜園の下に埋めることを提案し、バラバラに切り刻んで実際に埋めてしまいます。しかも、事実を知り、いつ誰に話すかもわからないローリーを殺そうとまで言いだす始末。考え方が非常にシンプルかつ合理的で、彼女の活躍はこれからもとても楽しみです。
ヒスパニックの増加でパワーバランスが崩れる刑務所
新たな入所者の多くがヒスパニック系ということで、刑務所内にはヒスパニック系の受刑者が溢れかえります。それまではどちらかというとマイノリティだったヒスパニック系がここにきて人数が増えたことで勢力を増し、さらに新参者を従えることに快感を覚えたマリアは、刑務所内でのギャングを形成していきます。一方、ヒスパニックの増加により、パンティビジネスを邪魔されかけているパイパーは刑務所内の安全とギャングの解体のために保安部隊を結成。しかしそのメンバーは白人の権利を主張する新参者ばかり。いつしか刑務所保安部隊は白人ギャングのような集まりになり、ヒスパニックグループとの仲がどんどんこじれていくのでした。そしてパイパーはギャングのリーダーに担がれてさらに調子に乗ることに。そしてそんな彼女のある行動がマリアの怒りを買い、残酷な復讐を受けることに。
プッセイとブルックの甘い関係とジュディ・キングの入所で黒人グループは多国籍な雰囲気に
シーズン3で自殺を図ったブルックは、助けてくれたプッセイと恋仲になりました。殺伐としだしてきたシーズン4のなかで、このふたりは普通にイチャイチャして、未来を語り、ちょっとした行き違いで喧嘩し、素直になって仲直りするという、恋愛ドラマかよと思わせるような甘い関係を見せてくれます。そして、さらにセレブな料理研究家であるジュディ・キングが入所してきたことにより、彼女のファンであるプッセイやテイスティは大はしゃぎ。シンディたちの悪知恵も働き金儲けのためもあってジュディは黒人グループの仲間になることに。ジュディもジュディで、刑務所内で楽しくバカみたいなことが出来るということで、シンディたちに協力することも歓迎で、黒人・白人・アジアと一気に多様な人種が揃うテーブルが出来上がりました。
重警備からの野獣看守ピスカテラ
一方、ベテラン看守たちの一斉退職、受刑者たちの脱走と新たな受刑者の一斉入所という非常にヘビーなトラブルが一気に押し寄せて絶体絶命のカプート所長は、重警備刑務所に助けを求めました。そこで来たのが野獣のように大きくいかつい看守・ピスカテラと一癖も二癖もある看守たち。現場主義のピスカテラは、悪人ではありませんがパイパーたちの最大の敵になります。
ピスカテラは犯罪者である受刑者たちと自分たち看守の立場の違いをはっきりと自覚し、受刑者にとっては理不尽なことも刑務所内の秩序を守るためという大義のもと行っているのです。こういうところが同じ悪者看守として描かれていたエロヒゲのメンデスとは違うところで、私利私欲のために動くメンデスとは違い、正義のためにやってるんですよね。
理不尽を超える看守の暴挙
ピスカテラを始めとする重警備からきた新たな看守たち。パイパーの告げ口のせいもあり、彼らの標的はヒスパニックに的を絞られ、日々理不尽な監視が彼女たちの不満を募らせます。さらに新たに運転手役になったマリッツァは、サイコパス気味な看守のハンフリーに異常な仕打ちを受けます。この描写は本気で気持ちが悪い胸糞ものですので、鑑賞時はいわゆる閲覧注意的なやつです。
そしてそんな理不尽な監視に嫌気がさして対抗したのが、眉毛がつながったフローレス。理不尽な身体検査に対抗すべくシャワーを拒否して体臭をきつくしたり、わざわざ魚の缶詰の汁を首筋に塗るなどして対抗します。やり方が賢いのかアホなのかわからないけれど、看守には効果的で一時は看守たちの嫌がらせを免れます。
しかしいつまでたってもシャワーを浴びず、臭い体臭を撒き散らすフローレスにキレた看守が彼女を食堂のテーブルの上に立ちっぱなしの刑に処します。
さらにそこにアレックスが殺した殺し屋の死体が見つかり、刑務所内はさらなる混乱に。
ピスカテラの暴挙に立ち上がる女囚たちと悲劇の事故(事件)
菜園で見つかった殺し屋の死体は、刑務所に潜り込むために看守に変装していました。刑務所内で看守が殺されたということで、カプートはFBIを呼部まで待機するようにピスカテラに命じますが、仲間が殺されたと思っているピスカテラはカプートの命令を無視して勝手に受刑者たちから事情聴取を始めます。
そんななかサイコパス看守のハンフリーがスーザンと、彼女と好い仲のククーディオの喧嘩をけしかけ、パニックになったスーザンはククーディオをタコ殴りに。それを知ったカプートは大激怒でハンフリーを停職処分にしようとするも、ピスカテラがそれに歯向かい、さらに過剰な取り締まりを始めるのですが、それに対して女囚たちは、遂に互いの人種の違いを乗り越えて立ち上がり、理不尽な看守たちに立ち向かいます。
しかし、その状況を収集すべくピスカテラを始めとする看守たちが力づくて彼女たちを取り押さえようとした時、ドジで気弱で心は優しいけれど看守には到底向いていないような看守・ベイリーが、唐突でかつ悲劇的な事件(事件)を引き起こします。
シーズン4の見所と感想
シーズン4はきついシーズンです。女囚たちに感情移入をして、好きなキャラクター、嫌いなキャラクター、もともと嫌な奴だと思っていたけど今は好きになったキャラクターなどがいるなかで、彼女たちにどんどん災難が降りかかります。筆者はもともとパイパーのことはそんなに好きではなかったのですが、彼女が受ける仕打ちは目を覆いたくなりますし、その後の彼女には少しずつ応援したくなります。そんなきつい事件や事故がたくさん起こるシーズン4の見所は、まずはアレックスとローリー、フリーダの殺し屋の死体にまつわるあれこれです。もともとクールだったアレックスが一度出所して戻ってきてからどんどん弱っていく、そこに変人ローリーと貫禄のフリーダが助力?する様子はシーズン4の見所のひとつでしょう。
そしてシーズン4一番の見所はやはり終盤の事故(事件)でしょう。何が起きたのかは、まだここでは書かないですが、この事件がこのドラマの登場人物たちを、後には引き返せないところに連れていく引き金となったことは間違いないはずです。
これまでも悲しい別れは幾つかありましたが、今回のそれはそのどれとも比べ物にならないものです。心してご覧ください。
シーズン5はまた、激動のシーズンになります。
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