「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」シーズン3はパイパーが刑務所ビジネスにハマり、レッドは乙女に!


image: Season Three | Orange is the New Black Wiki | FANDOM powered by Wikia

女子刑務所の日々を描いたNetflixオリジナルドラマの傑作

2013年からスタートし、2018年7月27日より最新のシーズン6がNetflixで配信スタートとなった、アメリカのドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』。Netflixに加入しているなら、是非とも観て欲しいドラマのひとつです。
今回はシーズン3についてのあらすじ、登場人物、感想などを書いていきたいと思います。
シーズン1〜2のネタバレなども含みますので、未見の方はご注意ください。

シーズン1についてはこちら
シーズン2についてはこちら

シーズン3の物語
刑務所は民間企業の運営下になり、受刑者も看守も不満が募る

シーズン2の最後に、黒人グループのボス・ヴィーが仲間にも見捨てられ、壮絶な最後を迎えた後からシーズン3は開始します。
刑務所のボスが金に汚いフィゲロアからカプートに変わり、彼自身も受刑者が人としてきちんと扱われ、きちんと罪をつぐなう理想の刑務所を目指すも、資金不足のため速攻で刑務所閉鎖の危機に!その危機を免れるため、カプートはスポンサー探しに奔走した結果、リッチフィールド女子刑務所は民間企業のMCCに買収されることに。いかにも民間企業なMCCは非常に多岐にわたる部署に仕事が細分化され、現場で頑張ってきたカプートには意味不明な組織形態をしています。さらに経費削減の税金対策しか頭にない経営陣のため、刑務所で使用する日用品のコストがどんどんカットされ、受刑者たちの生活はさらに酷いものになっていくのでした。そしてその経費削減の余波は受刑者だけではなく看守たちにも及びます。フルタイムの仕事をカットされ、保険も加入出来ず、そのくせ賃金が安いからと言う理由で新人を入れるというMCCのやり方に看守の皆さんは大層ご立腹の様子です。そしてその矛先はカプートへ。カプートは刑務所を良くしたいと思っていて会社のやり方にも異議を唱えているのに、完全に板挟みの中間管理職状態です。頑張れカプート!

パイパーは新規ビジネスで調子に乗りアレックスは日々怯えながら暮らす

そんななか、我らがパイパーはMCCが新たに導入した、女性のランジェリー作りの仕事に運良くありつきます。そこで、持ち前の賢さであるビジネスを思いつき、刑務所内の受刑者仲間や塀の外の弟たちを巻き込んで金儲けに勤しむことに。こうしてパイパーは刑務所内での自分の地位を築き始め、そのせいでどんどん調子に乗っていきます。
一方、パイパーの恋人で長身眼鏡のセクシーなレズビアンのアレックスは、パイパーの密告のせいで刑務所に逆戻りしていました。アレックスは自分が裁判で売った麻薬組織のクブラが、自分を殺そうと刑務所に殺し屋を送ってくるのではないかと、怯えながら日々を暮らし、そのせいで神経質な性格に。しかもパイパーが密告者だとわかると、そのあり得ない行動に激怒し、そこからなぜかヘイトセックスへ。。。このふたりの感情の変化はなかなかわからないもんですね。

ヒーリーとのロマンスでレッドは乙女の顔になる

シーズン2で因縁の敵のヴィーから襲われたものの、無事生還したレッドは菜園の密売ルートを閉じることに。そしておとなしく畑で野菜を作りつつ、カウンセラーのヒーリーの夫婦間の問題の仲介を続けていました。ロシア語しか話さない妻と、ロシア語を勉強中だが彼女に英語で話してほしいヒーリー。ふたりの溝は深く、ヒーリーの方はそれなりに努力をしているのですが、奥さんがヒーリーを見くびりすぎている様子。そんな妻にイライラが頂点に達したレッドが「こんな良い旦那がいるのに、文句言ってんじゃねえ!」とぶちまけたことにヒーリーはドキっとしてしまいます。レッドもレッドで古くからの付き合いのヒーリーのことを「良い夫」と言い表してしまったからか妙に彼を意識し始めてしまいます。恋は盲目というか、恋をすると女は綺麗になるというか、それからのレッドのヒーリーに対する態度はまるっきり乙女で、職場で恋をしたお局みたいな表情をしていて、見ていて笑えます。しかもその先にあるものは、やはり女らしい(というと語弊があるかもしれないですが)したたかさも併せ持っているところがすごいです。


個性あふれるスーザンとローリー

個性的なキャラクターばかりのこのドラマで、これまで最も個性的だったクレイジー・アイズことスーザンは、シーズン3で新たな才能を開花させます。その才能というのがヒーリーの同僚として赴任してきたカウンセラーの演劇クラスが発端で始まったSF官能小説。読んでいないから内容は受刑者たちの話していることくらいしかわからないけれど、かなりぶっ飛んだ内容のようで、刑務所内の女性陣からは大人気のようです。様々なキャラクターが登場し、人によっては推しメンもいるのだとか。他の受刑者ならまだしも、本好きで図書館で働いているプッセイもファンに取り込んでいるあたり、本当に面白いのでしょう。そういえばシーズン1の最初の頃、スーザンがパイパーを追い掛け回していた頃から、彼女の言葉はどれも詩的でよく考えられた素敵なものが多かったなと気付く今日この頃です。
そしてもうひとり、ぶっ飛んだキャラクターが登場します。正確にはシーズン2の第1話にも登場していたのですが、ベリーショートの白髪に眼鏡と、甲高い声が特徴のローリーです。パイパーがシアトルの刑務所に連れて行かれた時に飛行機で隣の席だった彼女です。シーズン3からは彼女もリッチフィールドにくるのですが、何故かアレックスを追い掛け回すローリー。殺し屋に狙われていると思っているアレックスからしたら、つけ回してくる変な奴のローリーはめちゃくちゃ怪しい奴です。果たしてローリーは何者なのか、アレックスを付け回すその理由とは!?

グロリアとソフィアが喧嘩して

息子がグレ気味で学校をサボっていることを知ったグロリアは、息子を怒鳴りつけながら「毎週面会にきて、ここで勉強しろ」と息子に命令するも、街から遠い刑務所までくる手段がないことに悩みます。
そこで家族が近くに住んでいるソフィアに頼んで、家族が面会に来る時に息子も乗せてもらうように出来たのですが、グロリアのとこの悪ガキがソフィアの息子にも悪影響を与えてしまい、ソフィアはグロリアに文句をぶつけます。
息子をバカにされたことに腹を立てたグロリアは、次の面会の日、自分の息子は会いに来ないのにソフィアは家族と会っていることを知りさらに不満を募らせて、ついにソフィアに喧嘩を吹っ掛けます。ソフィアとしては、せっかくの好意で同乗させてあげたのに、息子に悪影響を与えるからと、同乗を拒否しただけなのに、とんでもない悪役にされてしまい、さらにはやられたからちょっとやり返したことが、元男のトランスジェンダーという経歴のためにどんどん話が大きくなり、差別的な暴力の的に膨れ上がっていきます。
当の本人のグロリアはそこまで話が大きくなるとも思っておらず、というかむしろソフィアに対する同情心も持っているのですが、一度日のついた女たちの敵対心の的になったソフィアはどんどん過激な暴力にさらされていくのでした。

シーズン3の見所と感想

シーズン3の見所は、どんどん深みにはまっていくパイパーの黒さと、刑務所の運営者が変わることによって生じる様々な変化、そしてでしょう。
シーズン1、シーズン2とこの刑務所内での人間関係が大体わかってきたところに、パイパーがビジネスで地位を築き始めます。当初は「ごめんなさい」と綺麗事しか言えなかったパイパーの成長?堕落?がこのドラマ通しての見所なので、そういう意味ではシーズン3はそれがさらに顕著になるシーズンでもあります。
彼女はシーズン2の時から人種の垣根を越えて新聞を作ったりと、誰に対してもフレンドリーに接することが出来、それはシーズン3でのビジネスでも同じことが言えます。しかしその一方で誰に対しても無意識に失礼なことをやってのける天才でもあるので、どんどんドツボにはまっていくのでしょう。
あとシーズン1の最初にも、刑務所について予習してきた的なことを言っていましたが、彼女はギャングものとかそういった映画やドラマの影響を受けすぎる傾向にあります。だから、刑務所内でのビジネスでちょっと上手くいくと、自分が悪になっている気がして調子に乗るんですね。

刑務所の運営が変わったことで生じる変化のひとつが、新人看守の登場とベテラン看守の苛立ちでした。シーズン3ではそのイライラを通してそれぞれの看守のことがもう少し深く描かれています。シーズン1,2までは、カプートにヒーリーと、エロひげのメンデスとダヤの彼氏のベネット、あとはダラけきったルスチェックくらいにフォーカスが当たる程度でしたが、シーズン3では他の看守たちにもスポットライトが当てられます。皆怒れる従業員として、会社の体制に不満を持ちつつも、日々を必死に生きている人間なんだということが描かれています。

ソフィアとグロリアの家族を巻き込んだやりとりにも注目したいところです。グロリア役のセレニス・レイバは『スパイダーマン ホームカミング』でピーターの学校の先生を演じていましたが、本作でのお母ちゃん役はすごい迫力があります。こんなに厳しいお母ちゃんがいたら子どもはちゃんとするだろうと思うのに、やはり遠くにいる息子にはその厳しさは届かないのでしょうか。その代わり刑務所内の若いヒスパニック系の女子たちには母親代わりのような役割を担っています。本人たちは照れ臭いのか、レッドたちのように「私たちは家族だ」「お前は私の大事な娘だ」というようなことは決して言わないですが、厳しく接するグロリアや、彼女に反発するフラッカなどは、まさに母親と反抗期の娘のような感じがして、より自然な関係に見えます。
一方のソフィアはというと、本当にトランスジェンダーの女優のラバーン・コックスが演じていることもあってか、身振り手振りが他の女性よりも女性らしいです。他の受刑者たちに嫌がらせを受けながらも、言い返す時の腕の動かし方とか、本当に細かいところまで女性としての動きを徹底しているのが見所です。『チョコレートドーナツ』のアラン・カミングもシャツの脱ぎ方が本当に色っぽい脱ぎ方をしていたのを思い出しますね。

シーズン3ではパイパーが悪の道をまっしぐらで進み、アレックスはローリーのこととか色々悩み、スーザンは新しい才能を開花させました。他にもプッセイが意外な人と仲良くなり、テイスティはヴィーがいなくなった今、黒人グループの若頭的な存在になります。シーズン1では単なるイカれた女だったペンサタッキーもどんどん良い人になり、いろんな人との関わりを得ます。
主要なキャラクターたちはどんどん幅広く活躍していきながら、サブキャラだった人たちも次々と深堀りされていく、そんなこのドラマの一番の魅力を今回も感じさせてくれるシーズン3でした。

シーズン4についてもどんどん書いていきたいと思います。

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