Netflixオリジナルドラマ『13の理由』シーズン2が配信開始! 復習の為にシーズン1のあらすじと感想


image: 13の理由



『13の理由』とは

2017年に最も視聴されたドラマのひとつとされるNetflixオリジナルドラマ『13の理由』。そのシーズン2が5月18日から配信スタートとなりました。
ある少女の自殺にまつわる13の理由と、それに関わる少年少女達の物語。正直全くハッピーなドラマではないですし、重く暗いドラマなのに、見始めると止めることが出来ない中毒性を秘めているのは、Netflixという動画配信サービスを媒体としているからだけではないでしょう。
シーズン2も配信したことですし、改めてシーズン1のあらすじと見どころ、筆者の感想などを紹介していきたいと思います。

シーズン1のあらすじ

この物語はヒロインであるハンナ・ベイカーが自殺をした後から始まります。ハンナは可愛くてユーモアもあり、優しくて自分の意見も言える女子高生。そしてそんなハンナに恋をしていた主人公の少年クレイ・ジェンセン。
彼はある日、自宅の玄関前で7本のカセットテープが入った箱を見つけます。それは2週間前に自殺したハンナが、自分を自殺に追いやった13の理由を吹き込んだカセットテープでした。
ハンナに恋をしていた自分もハンナの自殺の理由のひとりになっていたことにショックを受けるクレイですが、そのテープには他にもさらに衝撃的な理由が吹き込まれているのでした。

物語は、ハンナが生きていた頃の「ハンナが自殺をするに至る理由」を描くパートと、ハンナの死後の「カセットを聴き進めるクレイと、自殺の理由となった残された人達の行動」が描かれたパートが交互に描かれていきます。
ハンナが生きていた頃のパートでは、友達の裏切りやいじめ、男子のバカで考えなしの行動など、見ていて既視感を感じるようなものから、盗撮や交通事故、性的暴行など過激なものまで様々な理由が描かれています。

シーズン1の登場人物

物語の登場人物の紹介と、筆者の主観で書く彼らの大まかな性格は下記の通りです。ネタバレを出来る限り回避するために、全員を記載することはせず、誰がどんな罪を犯したのかは伏せます。また紹介する順番に意味はなく、物語で明らかになる理由の順番とは無関係です。

ハンナ
本作のヒロイン。13の理由をカセットテープに残して自殺した女の子。可愛くてユーモアもあり、優しくて自分の意見をはっきりと言える。

image: 13の理由 CHARACTER

ハンナの自殺の理由となった人々

クレイ
本作の主人公。ハンナに恋をしている童貞男子。女の子に慣れていなくて、若干理屈っぽい話し方をするけれど、人一倍優しく正しいことをしようと必死。映画が好きでハンナとは映画館のバイトが一緒。

image: 13の理由 CHARACTER

ジェシカ
ハンナと同時期に転校してきた女の子。チア部に所属しているスクールカースト上位の恋多き少女。自分の楽しみを優先するタイプ。

image: 13の理由 CHARACTER

ジャスティン
バスケ部のレギュラーで甘いマスクの少年。ハンナの初キスの相手。母子家庭で母親の彼氏が嫌い。彼女のことは大事だけれど友達からの押しには弱い。

image: 13の理由 CHARACTER

ブライス
金持ちの家庭の息子で、ガタイもよくアメフト部に所属のみんなのリーダー。自信に溢れていて、若気のいたりで悪いこともやってしまう。

image: 13の理由 CHARACTER

アレックス
一時期はハンナとジェシカといつも一緒に行動していた男子。体は細くひ弱だけれど、正義感は強い方で、他者を思いやる心も持っている。パパは警察官。

image: 13の理由 CHARACTER

ザック
バスケ部のエース的な存在。弱った人に対しても優しく、スクールカーストでもジャスティンやブライスらとともに上位にいるが、その分プライドも高め。

image: 13の理由 CHARACTER

タイラー
勝手に人の写真を撮りまくるカメラ小僧。スクールカースト最下位。周囲から疎まれているのに、かまってちゃんな一面もある。

image: 13の理由 CHARACTER

コートニー
独善的な優等生。悪口や仲間はずれはいけないと言いつつ、本心では自分が悪者になることを避けたいだけで、自分の立場最優先主義。

image: 13の理由 CHARACTER

マーカス
生徒会長てきなポジションにいて、初見は気さくな良い奴っぽいけれど実際は単なるバカ。おそらく本作で一番のバカ。

image: 13の理由 CHARACTER

シェリー
チア部員で、感じの良い少女。女子の中では一番まともで、罪悪感に悩みながらも償いの行動を起こすタイプ。クレイのことが好き。

image: 13の理由 CHARACTER

ライアン
ゲイのポエマー。学校新聞をひとりで創刊し書き作り続けてきた。良いものはみんなで共有するべきだという持論を振りかざす。自分の世界があるタイプ。

image: 13の理由 CHARACTER

ハンナの周囲の人々

トニー
クレイの友達で古いもの好きの少年。カセットテープの中身を知っていて、クレイには「テープを全部聴け」と言い続ける。兄と妹がいて、友達や兄弟思いの優しいが謎が多い少年。

ハンナの両親
街で小さなドラッグストアを経営しているパパとママ。ふたりともハンナのことを何よりも大切にし、夫婦仲も良い。ハンナが自殺する前はどちらかというとパパの方が自分勝手にしていたが、ハンナの死後はママを心配して彼女の意向を優先するようになった。




バカばっかりな男子たちと自分勝手な女子たちによる悪意のない攻撃

このドラマはバカな男子と自分勝手な女子たちによる悪意というには本人たちに自覚が無さすぎる、けれど受けた側にとっては深刻な攻撃が、非常にリアルに描かれています。
ある男子は、せっかく良い雰囲気になったハンナの恥ずかしい写真を友達に見せびらかしたせいで、その友達が勝手に拡散するし、また別の男子は男子友達が欲しいからせっかく仲良くなったハンナを切り捨てて疎遠になる。また別の男子はハンナが自分のことを好きだと勘違いして友達の前で彼女にセクハラを働いて侮辱する。他にも何人かいるけれど、どいつもこいつも男子はみんなバカばっかです。「これをすると彼女はどう思うか?」その考えがひとりでもまともに働けば、ハンナは死ぬことがなかったのに、ノリと衝動と見栄だけで生きている男子高校生たちは、その考えに至らなかったのです。
一方の女子はみんな自分勝手な子達。だんご三兄弟の次男か!と思うほど自分が一番な思考回路を見せます。ある女の子は、彼氏と付き合うためにハンナと疎遠になり、彼氏と別れたためにハンナと絶交するし、また別の子は自分が招いた事態を全てハンナの責任にして押し付ける。本当に、女子怖いです。彼女は信じられると思ったら、次の瞬間には裏切られてるという。いや、本当女子怖い。
そして、何より怖いのは加害者側の悪意の自覚が薄いこと。本作でハンナの自殺の理由となった少年少女たちには、何故ハンナが自殺したのか、その理由はテープで明かされるまで全くわからなかったでしょう。聞いた後でも「そんなことで」と思ったかもしれない。加害者の子達は誰もハンナに対して直接死ねと言ったり、机に落書きしたり、トイレに閉じ込めたり、水をかけたり、物を隠したりしていません。むしろ、アレックスやタイラーの方がより明確にいじめらしいいじめを受けているように見えます。
だからこそ彼らは、ハンナの自殺を止めることが出来なかったのだと思います。誰もハンナが悪意に晒されているなんて思わないから。

それでもきっと、観た人は登場人物の誰かに自分を重ねてしまう

以上のように、この作品に出てくるのはみんな、バカで自分勝手なやつばかりです。第1話に出てくる、ハンナの死後に哀悼の意を込めて飾られたハンナのロッカーの前で記念撮影し「#決して忘れない」のハッシュタグで投稿する女子生徒もバカに見えます。しかし、それでもきっと自分が同じ状況に陥ったりしたら、誰かしらには自分を重ねてしまうのではないかと思います。それはシンパシーや共感といったものではなく「もしかしたら自分もこいつと同じ行動を起こしてしまうかもしれない」という自分の中にもあるかもしれない弱さを見ているような気分になるのです。
そしてそれは、このドラマでそれぞれの役に真正面から向き合い、全力で演じきったキャストの方々の、あまりにも自然な演技によるものなんだと思います。ハンナの自殺するシーンは本当に目を背けたくなるほど痛々しく、彼女の死の理由をひとつ知る毎にクレイの表情は一段階暗くなる。理由となった人達の焦りと翳りは、後ろめたさと狡猾さに溢れています。そんな彼らとこの物語が非常にマッチしているところも、この作品を魅力的なものにしている理由のひとつなのだと思います。

所々に挟まれる『スター・ウォーズ』ネタが可愛らしい反応を生み、物語を少し明るくする!?

ここまで書いて暗いことばかりだと今更気付いたのですが、ただ延々と暗いだけのドラマではありません。むしろ、監督が相当ファンなのか、所々に挟まれる『スター・ウォーズ』ネタは、気持ちが明るくなるような可愛らしいシーンで、心が少しほっこりするポイントです。特に第4話で父親に初めて嘘を吐いたコートニーに対してハンナが「暗黒面へようこそ」といった後の笑い方や、第11話でトニーに対してクレイが「役立たずのヨーダ」と怒るシーンなどはその反応なんかがとても可愛らしく登場人物たちが非常に愛らしく見えてくるので、気負わずに観てください!

Netflixオリジナルドラマ『13の理由』公式サイト:https://13ry.jp/



あわせて読みたい